2012年11月10日土曜日

福島 勝常寺

 福島 勝常寺


滋賀、京都、奈良と関西方面の仏像めぐりを続けてきたが、福島でお会いし私自身、大変驚き、感激した仏様を紹介しよう。

東北には、伊達氏三代の栄華の象徴として「中尊寺金色堂」があまりに有名で、世界遺産指定後、観光客が引きも切らないようだが、東北、福島に本当に素晴らしい仏様がおられる。

中尊寺の阿弥陀三尊と極楽浄土を願った金色に輝く金色堂ももちろん素晴らしいことは言うまでもない。

だが、訪れる人もほとんどいない福島県の北会津のさらに宮城よりの湯川村勝常という場所でお会いした薬師如来坐像と日光・月光菩薩の三尊は本当に素晴らしい仏様であった。
現在は本堂には本尊薬師如来像のみで、日光・月光の両脇侍は収蔵庫の中に置かれている。
ガイドブックではお目にかかっており、一度は訪ねたいところであったが、写真と実物の与えるインパクトは全く異なる。
日光・月光菩薩とも一木で、像高は170㎝くらいであったと思う。
その両菩薩より、少し大きい薬師如来像も欅の一木で、漆塗の上に金箔で
装飾されていたようだ。

薬師如来、日光・月光の薬師三尊は奈良西の京の薬師寺があまりにも有名だが、漆の艶が今もって感じられ、完成度としては圧倒的な薬師三尊は薬師寺
であることに全く異存はないが、私の好みから言えば、この勝常寺薬師三尊は、はるかにインパクトが大きかった。
あまり、私自身の期待が大きくなかった割りに、実際のお目にかかった時のインパクトが大きすぎたのかもしれない。


この勝常寺の三尊像は、本当に素晴らしい作品だと感じる。本尊も両脇侍も実に静かに、それでいてふっくらと穏やかにその前にいるものを包み込んでくれるような気持ちにさせられる。わずかに腰をひねり、まるで11面観音様を彷彿とさせる    
                  たたずまいだ。そのボリューム感も圧倒的と言っても良いだろう。
                  これだけの仏様にはなかなかお会いできないと思う。
私がお訊ねした仏様の中で、ガイドブックや写真集の中で感じていた仏様と実際にお目にかかった時に印象が大きく違う仏様の代表がこの勝常寺の三尊であることは間違いがない。長い時間拝観していればいるほど、その美しさや完成度を感じさせてくれる仏様である。冬場は拝観できないし、また、そのアクセスは極めて悪い。レンタカーやマイカーでお訊ねするのがベストだろう。
しかも、事前予約が必要だ。もし、このお寺が奈良や京都にあったら、おそらく人気ベスト10に選ばれるような仏ではないだろうかとさえ思える。
そう、日光・月光両菩薩像は秋篠寺の伎芸天の美しさと11面観音さまの造形美を兼ね備えていると言っても過言ではないだろう。
一度お訊ねすることを是非ともぜひとも進めたい・・。

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