2013年5月25日土曜日

国宝・観心寺如意輪観音

<妖艶な仏=如意輪観音像>

数ある仏像の中でも、最も妖艶な感じを与える菩薩像が如意輪観音像ではないだろうか。この印象は、完成度が高く唯一国宝に指定されている大阪「河内長野」の観心寺の如意輪観音から感じた印象が非常に大きな影響をを与えていることは事実だろう。いささかふくよかで、片膝を立てて、一手を右頬に据え宝珠を身体の中心にもち、像全体に朱色が、残っており、まさに色香を帯びた表情で蓮台の上に静かに座っている。


 
重文・醍醐寺如意輪観音
重文・室生寺如意輪観音



如意輪観音は立像は多分ないだろう。一般的な如意輪観音は6本の手を持ち、その二つの手に如意宝珠と法輪を持っている。如意宝珠は迷える衆生に功徳を施し、法輪は煩悩の打破のためにある。




室生寺、醍醐寺の如意輪観音像は重文指定になっている。その造形は観心寺の如意輪像に極めて近い。但し、観心寺の如意輪像の美しさ、妖艶さが圧倒的で、室生寺、醍醐寺の如意輪観音菩薩のインパクトはあまり強いとは言えないだろう。この観心寺の如意輪観音像は毎年4月の16日、17日の2日間しか拝観することができない。南海電鉄の河内長野・・。まさに一日近くを費やして訪れる菩薩像だ。その労苦を割り引いても一度はおめにかかった方がと思わせる仏様であることは間違いがない。室生寺や醍醐寺には他にも見るべきものがあまりに多い。ともに、如意輪観音菩薩にお目にかかるために訪れる寺ではないのかもしれない。ただ、観心寺にはこの仏様一体しかお目にかかるべきものはない。その思いがこの如意輪観音様を拝観した時に、かえって強い印象でこころに押し寄せてくるのかもしれない。

付記だが、中宮寺の弥勒菩薩半跏像、宝菩提院の国宝菩薩半跏像も如意輪観音の変化仏と言われていると記憶している。中宮寺の弥勒像までは、女性的なそして妖艶な印象を強く与える菩薩だが、宝菩提院の半跏像は、むしろ凛々しく見える。
なぜ、如意輪像と伝えられるのか、女性的な存在と、凛々しい若者のような印象を与える仏像と同じ、仲間として紹介されるのか・・・・もう少しく、知識の蓄積が必要なのかもしれない。
そして、何より、現地に赴くことが必要だろう。そういえば、ここの所、半年近く、仏様にお目にかかりに行っていない。
この秋には、奈良、そぞろ歩きの旅に出よう・・・・か。