2013年1月30日水曜日

定朝作 国宝阿弥陀如来像

法界寺 阿弥陀如来坐像


日本最大の五重塔を有する醍醐寺のさらに南、宇治市に近い、しかもどこかの駅から20から30分歩いたところにある国宝阿弥陀堂を持つ寺が法界寺だ。


この阿弥陀堂のなかにおられるのが、日本の仏師の草分けてきな存在(私の理解に過ぎないが)『定朝様』の代表的な仏様と言われている国宝阿弥陀如来坐像だ。
(下段)







定朝は慶派のルーツともいえる仏師だが、定朝作の確実な作品は平等院鳳凰堂の阿弥陀如来像と言われている。

その平等院の阿弥陀像と兄弟仏のように見えるのが、この法界寺の阿弥陀如来坐像だ。

この阿弥陀像は4本の天蓋を支える柱に囲まれている。この柱には、創建時に書かれたと思われる色絵を確かに見ることができる。

平等院鳳凰堂の阿弥陀像の天蓋は、あまりに華麗で
有名だが、この法界寺のそれは、穏やかな優しい木造の良さを感じさせる。阿弥陀堂そのものの雰囲気と見事にマッチングしており、お堂全体が静かな穏やかさを感じさせる。

阿弥陀像の近くに坐して、修行僧のそれほど長くないと思うが説明を聞いた後、この像の近くに暫く坐していると、
なんとなく気持ちが穏やかになってくるように感じた記憶がある。
阿弥陀像は坐像ではあるが、ほぼ3㍍近いおおきさだったと思う。
にもかかわらず、威圧感のようなものは全く感じない。それは多分、この阿弥陀像全体が、ひどく落ち着いた穏やかな
雰囲気を持っているからと思う。
そして、阿弥陀堂と像が、本当に一つの宇宙の中に存在しているように感じさせる。





全く
訪ねるのに、少しく不便で遠い感じがしたが、訪ねて失敗したというような感覚を与えられることはないだろう。定朝様と言われているが、こちらにこそ定朝の思いが強く、強く伝わっているように感じる。場所的にも宇治方面、あまり有名な寺ではないのかもしれないが、平等院鳳凰堂を訪ねる時に、一緒に訪れることを強く進めたい。そう、心の疲れを癒してくれるいくつかの寺の一つと言ってもいいだろう。そんな流れから、次編は平等院鳳凰堂の扉を開けてみよう。宇治方面で一日を過ごす旅も結構お勧めだ、平等院で感じる藤原氏の圧倒的な力が陽とすれば、この法界寺はまさに陰のお寺だろう。言い換えれば動と静かもしれない。
是非一度訪ねてほしい場所だ!!
 
 
 
 
 


2013年1月2日水曜日

  奈良の仏像ランキング 中宮寺弥勒菩薩半跏思惟像

 
 
  好きな仏像ランキングでは必ず上位に入るのが、法隆寺百済観音像ともう一つが、この中宮寺 弥勒菩薩半跏像
   (伝如意輪観音像)。特に、女性の支持者が圧倒的に多い。
中宮寺は尼寺だが伽藍、寺の面影は残っていない。法隆寺東院「夢殿」のすぐ東側に弥勒菩薩像のみが置いてあ  
  る建物がある。
 
  寺院の風情は全くない、この弥勒像1体のみが、静かにわずかに笑みを浮かべながら置かれている。

  この弥勒半跏像のインパクトは流石にすごい。
 
  その完成された造形美については言葉もない、一点の隙のない仏様だと思う。
  木造、一種の寄木造りだが、木造とは思えないような光に覆われている。
 


多くの人々がこの完成された造形美に、圧倒的な憧れを持つのだろう。
その美しさに、異論をはさむものでは全くないが、非の打ちどころがない、という表現と造形にいささか、耽美をこ超えた、美しさへの畏怖のような感じを与えられる。
ただ、「美しいものは美しい」。それでいいのだろう。だが、人間もあるいは仏像もどこかに”破綻”があった方が落ち着く感がする。この観音様については、法隆寺を訪ねる度にお目にかかっているが、あまり詳しくはしらない、調べた事が無いので詳しくは紹介できない。お断りをしたうえで、次回まで少しく調査をして加筆させていただこうと思う。弥勒像と言われながら「伝如意輪観音」と言われている。

ネット調査結果
本尊。飛鳥時代の作。像高132.0cm(左脚を除く坐高は87.0cm)。広隆寺弥勒菩薩半跏像とよく比較される。
  寺伝では如意輪観音だが、これは平安時代以降の名称で、当初は弥勒菩薩像として造立されたものと思われ
 る。国宝指定の際の官報告示は単に「木造菩薩半跏像」である。材質はクスノキ材。一木造ではなく、頭部は前
 後2材、胴体の主要部は1材とし、これに両脚部を含む1材、台座の大部分を形成する1材などを矧ぎ合わせ、他
 にも小材を各所に挟む。両脚部材と台座部材は矧ぎ目を階段状に造るなど、特異な木寄せを行っている。本像
  の文献上の初出は建治元年(1275年)、定円の『太子曼荼羅講式』で、同書に「本尊救世観音」とあるのが本像
  にあたると考えられている。それ以前の伝来は不明である。現状は全身が黒ずんでいるが、足の裏などにわずかに残る痕跡から、当初は彩色され、別製の装身具を付けていたと思われる。

以上がネットからのコピペです。とまれ、1000年以上の時を経て存在する仏様としては、信じられないくらい美し い。女性層の圧倒的支持を得ている仏様の一つという評価は揺るぎがないと言えるだろう。近寄り難いともいえる美しさと、この観音さまが置かれたお堂の雰囲気があまり合致していないような違和感を少し感じさえられる。
                     
                                                              
 
正面