<女人高野 室生寺>
室生寺は国宝11面観音を紹介してあるが、寺全体として、やはり詳しく紹介しないといけないところだろう。
女人禁制の高野山金剛峰寺にたいして、女性がお参りできる真言密教の寺院として役小角が建立したと伝えられて
いる、山深い寺が室生寺だ。女人高野として名高いが、男の私にとっても極めて心に残る寺の一つである事は事実だ。
日本最少最も美しい五重塔(私見) |
この寺は、土門拳が晩年、雪の室生寺を撮るために5年の月日をかけたと、彼の写真集に紹介されてあったと思う。
私も、4回か5回は訪ねているが、残念ながら雪の室生寺を訪れたことはない。
*なんと予告のままにしておいたら12月8日放送の「美の巨人たち」で室生寺五重塔を紹介してしまった。
国宝11面観音立像 |
室生寺風景。
5月から6月頃は石楠花の寺としても、また、深山紅葉の名所としても有名であるが、一面白銀に覆われた室生寺は、どれほどのインパクトがあるのだろうか。
土門拳のこだわりの本質がなんとなく理解できそうな気がする寺であることは、私も確信を持って言える。
私もここ数年のうちに、雪の室生寺に身を置いてみたい願望に駆られる。
寺の雰囲気から始めたが、室生寺は仏像の質も大変、大変好きなところだ。
いよいよ本論に入ろうと思う。
<金堂>下段に紹介した金堂の諸仏はいずれも質の高い作品だと感じる。
本尊釈迦如来立像(国宝)を中心に、薬師如来、文殊菩薩、地蔵菩薩、そして、国宝11面観音像が立ち並ぶ。
以前の回で紹介したが、この11面観音像は、国宝11面観音像なかで最も若々しい。凛々しさの残った若者のような雰囲気を感じさせる。ちょっと暗めの金堂であったように記憶しているが、じっくり眺めれば眺めるほど、端正で若々しい観音様を感じる。
この金堂の中で、もう一つ注目すべきは12神将像ではないだろうか。他でみられる12神将のようないかめしさはほとんどなくいささかユニークな雰囲気を漂わせてはいる。
それは、まるで今の今までおどけて動き回っていた12神将が突然動きを止めた瞬間のような感じを与えている。
釈迦如来像 |
中でも、左端に見える国宝、11面観音像は大変
好きだ。
この写真の前に様々な姿で立ち並んでいるのが、重文12神将像だ。一体一体じっくりとみれば見るほどユニークな姿をしている。
小ぶりで、威圧感はないが、独特の存在感を示している。
新薬師寺でも紹介したが、12神将は薬師如来を守護する眷族。
東寺、興福寺その他たくさんの12神将があるが、それだけを訪ねても楽しい。
最後に、室生寺本来の仏像ではなく、他寺からの預かりの仏像、客仏として、
国宝釈迦如来が置かれている。(写真下)
この像は、時間をかけて眺めれば眺めるほど、完成度の高い釈迦如来像だと思う・。
あまり詳しく調べたことはまだないが、ぜひじっくりと拝観されることを願う。
とまれ、女人高野室生寺、次回は是非、雪景色のなかのモノクロームのような室生寺に身を置いてみたい。