2012年9月26日水曜日

浄瑠璃寺・岩船寺

<浄瑠璃寺・岩船寺>


この両寺はともに京都府木津川市にあるが、私の印象では奈良のお寺という感覚が非常に強い。アクセスとして一般的なのがJR奈良駅、近鉄奈良駅向いのバスセンターからという事かもしれない。                          加えて、お寺の雰囲気がなんとなく京都っぽくないというのもあるのかもしれない。ひなびた山郷の中の寺という風情だ。
9体阿弥陀仏
奈良駅から30分ほど、ほとんど山中といった風景の中をバスにゆられていくと、曲がりくねった道の先に、浄瑠璃寺のバス停があらわれる。    
浄土の池と阿弥陀堂
                 
バス停から、数件の土産物屋などに挟まれた小道を歩き、その先の石造りの参道を行くと、山門の向こう、寺の中心
に池が見える。ご本尊9体の阿弥陀如来のおられる阿弥陀堂の前に広がる浄土の池だ。
浄瑠璃寺はその全体の”景色(雰囲気)"がなんともいい。
山門をくぐった左側の小高い丘のうえ、木々の向こうに朱色の国宝三重の塔が建つ。
この方向は東側。まさに東方瑠璃光浄土から、衆生を守護してくれる、薬師如来像を本尊にしている。
そして山門の右側、西方に建つのが阿弥陀堂・・。そのお堂の中に 9体の阿弥陀如来像(国宝)が置かれている。
この9体の阿弥陀像は、阿弥陀堂のそれぞれの9枚の扉の中央に置かれている。

9体の中心にひときわ大きい阿弥陀像があり、その両側に4体づつの阿弥陀像が置かれている。

9体の阿弥陀仏をまつるためのお堂で、現存する唯一のものと聞いている。

お寺全体で表現する「宇宙」を釈迦如来が守護し、東方浄土から薬師如来が病や飢饉、災難などから衆生を守る。
そして、来世の幸せまでもを9体の阿弥陀様が受け止めてくれる。

私には一つの仏教宇宙が表現されているように思える。私にとっても唯一のお寺だ。

秘仏で見られる機会は少ないが、厨司の中に置かれた吉祥天女像(重文)がある。
女性に人気の像だ。80㎝くらいの像高と記憶しているが、ふくよかで実に穏やかな表情をしている。拝観日を調べて訪れることを薦めたい。

蛇足だが、山門の手前左側の小道の先に、ひなびた定食屋がある。 麦とろ定食が名物だ。

 浄瑠璃寺から徒歩では1時間くらいだが、浄瑠璃寺拝観後、同じバスで行くことができる。
このお寺も山寺としての風情がなかなかいい。
岩船寺三重の塔
阿弥陀如来像
阿弥陀像(重文)は、光背が大変珍しく、大小二つの丸い光背がつながった形をしている。像高も3メートルくらいはあったと思う。
なんとなく、心の緊張を解き、拝観する人々の心をほっとさせ、和ませてくれるように感じさせる。好感を抱かせるお像だ。

本堂の左奥に、新緑か紅葉かは別にして、山寺を彩る浄瑠璃寺の三重塔より一層鮮やかな三重の塔が建つ。

浄瑠璃寺・岩船寺は拝観者にとって問題はアクセスの悪さだろう。平日、休日とも1時間に1本で一日6本くらいの
   バスしかない。浄瑠璃寺前で降りて拝観し、1時間後のバスで岩船寺に向かう。帰りのバスの時間を調べて、岩船
  寺をを拝観するという方法が良いのではないだろうか。(逆ルートもありそうだ。岩船寺に直行し、帰りに浄瑠璃寺を
 拝観して2本後のバスで帰るという方法だ、これはまだトライしたことはないが・・・。)浄瑠璃寺に途中駅からに向か
う山道は当野の野仏や磨崖仏が多くある。ウォーキングをかねて、途中駅で下車し、野仏や磨崖仏を眺めながら
浄瑠璃寺に向かうのもいいコースだ。結構、上りも多く細い道も多いので,春の新緑の頃か秋の紅葉の頃なら、こ
れはお勧めだ。浄瑠璃寺には4、5回訪ねた私もも当野を歩いたのはただの一度、。偉そうな事は言えないが・・。
この浄瑠璃寺も一度訪れれば、きっと何度も足を運ぶお寺になるに違いない。